HMCフィトテラピー通信 〜保湿・美肌ケア〜

Category:ハーブレッスン
Writer:佐藤
HMCフィトテラピー通信では、こころとからだにまつわるテーマを毎月設け、ハーブや精油を用いた日々のケアや過ごし方についてお伝えしていきます。
暮らしの中にフィトテラピーを取り入れて、植物のある暮らしをより多くの方に愛しんでいただけるようご提案していきます。
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真夏の強い紫外線にさらされた肌
汗に含まれる塩分などの成分によるダメージ
汗をぬぐう時の肌への摩擦
冷房による乾燥と冷えによる血行不良
夏が終わりに近づくころには何となくごわつく質感や火照りやすい頬など、肌は夏の疲れを伝えてきます。
そして季節の変わり目、特に夏から秋への移り変わりは湿度がガラっと変わる時で肌にとっても過酷な時季を迎えます。
肌が水分を保持する力が弱まり、体内からの乾燥も気になる時。
夏に疲れた肌を優しく癒してあげること、空気が乾燥する秋に備えること。
このふたつの要因から肌を守るためのケア方法を、自然の恵みや日々の生活習慣とともにお伝えします。
外側だけでなく、身体の内側からのアプローチも意識しながら「保湿・美肌ケア」しましょう。
ふだん何気なく触れている「皮膚」。
実は私たちの身体の中で、最も大きな臓器です。
外からの外敵を受け止める天然のバリアのような働きはもちろんのこと、体温の調節や水分の保持、熱い・冷たいなどの感覚の受容、老廃物の排出作用など、これ以外にもたくさんの働きを持っています。
皮膚は「表皮」「真皮」「皮下組織」という三層構造になっています。
表皮の一番外側の0.02ミリの厚さの角質層は、この薄さで外からの刺激を防ぎ、潤いを保つという大切な層。
日々のケアが届くのも角質層です。
表皮の一番奥にある基底層で作られた新しい細胞が、少しずつ角質層に押し上げられ、最後は垢となって自然に剥がれ落ち、また新しく生まれ変わるまでの流れをターンオーバーといいます。
年齢と共にこのサイクルはゆっくりとなり、ごわつきやくすみが気になる原因となります。
植物オイルで希釈した精油などを肌に馴染ませ保湿をする、やさしいクレンジングと洗顔を心掛けてバリア機能を損なわない、生活習慣を整えるなど、ターンオーバーが乱れにくい肌を目指しましょう。
表皮の下にある真皮は肌のハリや弾力を支える大切な土台。
年齢と共に真皮の働きが弱まるとたるみやシワが現れやすくなります。
一番深いところにある皮下組織は主に脂肪で構成され、体温を保ち衝撃を吸収する役割。
これらは外からのスキンケアでは届かない層ですが、食べた物の栄養や運動など生活習慣によって健やかに保つことができます。
<ターンオーバーを促す良質な水分の摂取方法>
一定時間(4〜6時間くらい)をあけながら、コップ一杯のハーブティーを飲んでみましょう。
Beauty & Cleanse
ハーブティー初心者も飲みやすい甘酸っぱいブレンドティー。
ホットでもアイスでもおいしくお召し上がりいただけます。
ビタミン・ミネラル・クエン酸が豊富で、代謝を促すハーブがブレンドされています。
夏の紫外線を受けた肌、冷房の風にさらされた肌は、肌本来のバリア機能も揺らぎがちです。
そんな肌に寄り添ってくれるのが芳香蒸留水。
植物を水蒸気蒸留しそれによって得られる芳香成分を含む蒸留水です。
芳香蒸留水は化粧水の起源でもあり、香りは優しく肌あたりも柔らかで、過酷な夏を乗り越えた肌に穏やかに潤いを届けてくれます。
精油よりも刺激が少なく、敏感肌や乾燥肌の方にも日常のケアに取り入れやすいのが特徴です。
希釈せずにそのまま肌に使用でききるので、化粧水として使用してみましょう(初めて使うときや肌が弱い方はパッチテストを行いましょう)。
香りが濃厚だと感じる場合は精製水で希釈しますが、水分が多いと腐敗しやすくなるのでその日使う分だけ希釈してください。
秋を迎え乾燥が気になってきたら、芳香蒸留水にグリセリンを加えることで保湿効果が持続しやすくなります。
<HMCオリジナル芳香蒸留水>
銅製のアランビックを使用し、農薬不使用栽培の旬のハーブを蒸留しています。原料はハーブと水のみ。アルコールや防腐剤も添加していません。
ローズマリー&スペアミント ウォーター
ローズマリーとスペアミントの芳香蒸留水は夏にぴったりの香り。清々しさと爽快感を兼ね備え、老廃物を取り除き保湿も期待できます。
ティートゥリー ウォーター
ティートゥリーの芳香蒸留水も清潔感溢れるフレッシュな香りです。
化粧水以外の使用法はこちらのコラムをご覧ください。
芳香蒸留水(ハーバルウォーター)のおすすめ活用法|ハーブと暮らしnote
スペシャルケアとして大地の恵みであるクレイを使う事もおすすめです。
クレイは簡単にいうと天然のミネラルを豊富に含んだ粘土のこと。
細かい粒子で汚れや余分な皮脂を吸着し、肌を整える働きがあります。
そこに植物の恵みである芳香蒸留水でペースト状にしてクレイパックにすると、毛穴のケアやくすみに役立ち保湿も期待できます。
まずは一番優しいホワイトカオリンで、ターンオーバー促進と肌のバランスを整えましょう。
外側から丁寧にスキンケアをしていても改善されないと空しくなります。
そんな時は腸内環境を見直してみることをおすすめします。
腸は消化吸収、排泄に関わるだけでなく、免疫細胞の7割が集まる免疫の重要器官。
そして幸せホルモンといわれるセロトニンを産生する拠点でもあります。
便秘が長く続くなどの要因で老廃物が腸内に長くとどまると、腸内環境が乱れ悪玉菌が増殖しやすくなり腸内に炎症や有害物質が発生。
それらは腸から吸収されて血流に乗り全身を巡って最終的に肌に炎症や吹き出物として現れます。
なんとなく肌がくすむ、吹き出物やにきびが増えた、乾燥や痒みがあるなどの症状はそのサインかもしれません。
肌は内臓の鏡といわれるように、内臓の不調は皮膚に映し出されるのです。
美肌を育むためには腸内環境を整えることが第一で日々の食事が大きなカギとなります。
まずは発酵食品。味噌やぬか漬け、ヨーグルトなどには善玉菌が含まれており腸内フローラのバランスを整えます。
善玉菌の餌となる食物繊維も積極的に取り入れましょう。
食品添加物の多い加工食品は腸内環境を乱す原因となるため、できるだけ控えるといいですね。
また、適度な有酸素運動は腸の動きを刺激し便通を改善します。
そして腸の蠕動運動や消化、吸収の働きは副交感神経が優位な時に活発になることから、自律神経が乱れると腸の働きにも悪影響。
軽いストレッチやウォーキング、音楽に合わせて身体を動かす簡単なダンスなどはストレス発散に繋がり、しかるべき時に副交感神経を優位にします。
腸の働きを正常にし、肌が良い状態を保つためにも、軽く身体を動かしてみましょう。
腸内環境の改善にゴボウがブレンドされた『浄活』がおすすめ。
夏の紫外線でダメージを受けた肌、これから乾燥が気になる季節を迎える肌、外側からだけでなく内側からのケアも大切です。
身体の内側から美肌を育む東洋医学の知恵をご紹介します。
まず、五臓六腑のバランスが整っていることが第一ですが、肌の潤いに深く結びついているのが五臓のうちの「肺」という臓です。
肺は肌(皮膚)をつかさどる臓とされています。
肺の働きの一つには気や水分を全身に巡らせる働きがあり、肌の潤いやキメ、艶などの他にも皮膚のバリア機能(外邪の侵入を防ぐ能力)にも関係しています。
肺の働きが正常であると、肌の水分バランスが正常に調整され、乾燥から肌を守ることができるのです。
人間も自然の一部ですから、秋の気配を感じる頃には知らず知らずのうちに身体の中も乾燥してきます。
肺の乾燥を防ぎ潤す食材をとることがポイントの一つ。
まずは白い食材を摂ること。
特に白きくらげは「食べる美容液」とも言われるほど。
鍋料理の具材でキノコの一つとして気軽に取り入れてみましょう。その他にもカブやレンコン、ゆり根や梨もおすすめです。
また、肺と大腸は表裏一体。先日配信したとおり腸内環境は肌に映ります。
乾燥する季節は便秘の症状も現れやすくなります。腸を潤し便通をよくする食材を取り入れましょう。
上記の肺を潤す食材を基本に、腸を潤す食材の一つ、松の実をトッピングするとより効果が高くなります。
肌に関係の深い五臓「肺」についての詳細は、HMCのオンライン講座「陰陽五行フィトテラピー講座」で詳しく説明していますのでご興味のある方はこちらをご覧ください。
フィトテラピーでは保湿・美肌ケアに関してどのようなサポートできるでしょうか。
「香り」と「ハーブティー」の観点からおすすめしていきます。
<香り>
冷房の風や汗によってダメージを受けた肌には『フランキンセンス<精油>』がおすすめ。
暑く乾燥した環境で育つフランキンセンスは人にとっても乾燥した肌に役立ちます。
古代では金よりも価値があったとされるこの樹脂は、クレオパトラも美肌のために使っていたと伝わっています。
夏の暑さで広がった毛穴が気になる時には『ゼラニウム<精油>』がおすすめ。
肌を引き締める収斂作用があるゼラニウムも肌には最適な精油です。
ローズと同様の成分を多く含み香りが似ていることからローズ・ゼラニウムともよばれています。
バランス調整にも優れた精油で、脂性肌と乾燥肌のどちらの皮脂バランスを整えてくれます。
どちらもスキンケアに適しているホホバオイルで希釈して、優しくマッサージしましょう。
<ハーブティー>
■シングルハーブ
『ヒース』
ピンクの小さな花を咲かせるヒースは、可憐な見た目からは想像もできない荒涼な地に生育するたくましい植物です。
成分アルブチンが含まれ、メラニン色素の合成沈着を抑制しシミ・そばかすを防ぎます。
紫外線や炎症で増加するメラニン色素。
味はほぼ無味に近いので日差しによるダメージを受ける夏は、他のハーブティーなどにちょい足しして積極的に取り入れたいハーブです。
『【国産】ハトムギ』
ハトムギは体内の余分な湿や熱を取り除くとされています。
ニキビや吹き出物、肌荒れの原因となる湿熱が溜まりやすい夏におすすめです。
また、肌の材料となる細胞の再生に肌に必要なたんぱく質を豊富に含むため、肌のターンオーバーを促し健やかな肌へ導きます。
■ブレンドハーブ
『秋潤茶』
ジンジャーやシナモンなど身体を中から温めるハーブが入ったブレンド。
冷房による冷えは血流の滞りを引き起こし、くすみやクマ、肌のトーンダウンの原因となります。
身体を温めるハーブティー飲用の習慣が肌の保湿や美肌ケアに繋がるなんて、美味しいだけでなく一石二鳥ですね。
『カサカサ・カピカピGood-bye〜Skin care〜』
華やかなローズレッドがたっぷり入ったブレンドです。
ローズレッドは肌を引き締めハリや艶をキープしてくれます。さらに香りは幸福感をもたらします。
ストレスによる様々な不調は最終的に肌の不調に出てしまうことも。
お茶と香りによる日々のストレスケアで美肌を保ちましょう。
美容医療の進化は目覚ましく、即効性のあるケアとしては心強い存在です。
でも、肌は内臓の鏡と言われるように、どんなに外側から整えても、食生活の乱れや良質な睡眠の不足、ストレスといった内側からの乱れがあると肌の調子は安定しません。
特に夏から秋にかけては、発散の季節から溜め込む季節へと大きく変わり、肌が揺らぎやすい時季になります。
季節に合わせた食事や睡眠のとり方を改めて見直す良い機会となるでしょう。
肌は内側から育てるもの。毎日の丁寧な積み重ねが本当の美肌を作ります。
