HMCフィトテラピー通信 〜免疫力アップ〜
Date:2025.10.27Category:ハーブレッスン
Writer:佐藤

HMCフィトテラピー通信では、こころとからだにまつわるテーマを毎月設け、ハーブや精油を用いた日々のケアや過ごし方についてお伝えしていきます。
暮らしの中にフィトテラピーを取り入れて、植物のある暮らしをより多くの方に愛しんでいただけるようご提案していきます。
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ようやく朝晩の空気がひんやりと感じられるようになり、街路樹も少しずつ色づき始めました。
このような季節の変わり目は、身体が気温や湿度の変化に追いつかず知らず知らずのうちに疲れを溜め込みやすい時季です。
最近ちょっと疲れやすいかも、風邪を引きやすくなった気がする。そんな小さなサインを見逃さないことがフィトテラピーでのケアを有効にします。
忙しい毎日でも少しの工夫で身体を守ることはできます。いざという時のための免疫のシステムをしっかり発揮できるような身体作りのコツを一緒にみていきましょう。
日常よく耳にする「免疫力を上げる」というフレーズ。医学や免疫学の世界には免疫力を上げる、という指標は存在しません。正常値があるわけでなく、上げる・下げると言いきれないのが理由の一つです。
免疫システムは大きく分けると「自然免疫」と「獲得免疫」の二つがあり、この両者がいざというときに発動できることが最も大切で、免疫が強いことや免疫力を上げることが単純に良いことではありません。免疫が過剰に働くとアレルギーや自己免疫疾患に繋がることもあるのです。
私たちは常に外界との接点を持ちながら生活しています。日々、病原体やウイルスや寄生虫などが身体に侵入して増殖しようと虎視眈々と狙っている状態。
そうした日常の中で、病気にかかることなく生きていられるのは、身体に免疫システムという健康を維持する仕組みが備わっているから。免疫システムは、いわば身体の警備員のような存在。24時間休むことなく外から侵入してくる異物(病原体)を見つけ排除する役割です。
この免疫システムは主に自然免疫と獲得免疫に分けられますが、まず最前線で頑張っているのが自然免疫。私たちに生まれつき備わった防御線です。敵か味方かを見分け、異物を攻撃するこの仕組みは即応性に優れています。
自然免疫が最前線なら、次に登場するのが獲得免疫。一度出会った細菌やウイルスなどの病原体をしっかり覚えていて、次に同じ相手がやってきたときに的確に対応できるシステムです。ワクチンはこの獲得免疫の記憶力のシステムを利用しています。
この二つの免疫システムが連携してこそ、私たちは日々の感染リスクから守られています。この二枚の防御壁がしっかりと動けるよう、日々の生活習慣を見直しながら免疫システムを応援しましょう。
<おすすめハーブティー>
『ホーリーバジル』
肉体的、精神的ストレスへの抵抗力を高めるアダプトゲンハーブ。
なんかちょっと調子が悪いなというときにおすすめです。
シングルで飲んでもおいしいハーブです。
『Pure & Power』
免疫力をサポートしてくれるハーブがたくさん入っています。
過剰に働かせるわけではないのがポイントで、アレルギー対策にもなるブレンドです。
私たちの身体は細菌やウイルスや寄生虫などに日々晒されている状態で、免疫機能を整える生活とは、免疫システムが必要な時にしっかり働ける状態ともいえます。
免疫細胞が働きやすい環境とは、様々な機関とのチームワークが重要。免疫系の他に自律神経系や内分泌系との連携が必要です。つまりホメオスタシスのバランスが良い状態がキープできているかどうかにかかっています。
なかでも自律神経に注目すると、交感神経と副交感神経はバランスを取り合いながら体温調整や内臓の働き、免疫の働きを支えています。
交感神経が優位になると、好中球という細菌などを攻撃する細胞が活発になり、副交感神経が優位な時は、リンパ球が増えてウイルス感染の細胞を排除する働きが増えます。このため、副交感神経が優位な時にウイルスに対する免疫反応が整いやすいと考えられます。風邪を引いたときなどにゆっくり休むことで治りが早くなるのはこのためです。完全に役割が分かれているわけではないですが、その時の身体の状態に合わせて、免疫細胞のバランスは調整されているのです。
ストレスフルな毎日は緊張モードが続きどうしても交感神経が優位になりがち。
深い呼吸や良質な睡眠、リラックス時間を持つことで副交感神経が優位となり、自律神経のバランスを整えるのと同時に粘膜やリンパ球などの免疫細胞の働きをサポートしてくれます。多忙で風邪を引きたくない時こそ、生活習慣を整える小さな努力をしてみましょう。
また、冷えも免疫機能の働きに大きく関与します。
身体が冷えると血流の低下が懸念されますが、血流に乗って身体をパトロールしている白血球の働きも鈍り、ウイルスや細菌が侵入しやすい状態に。さらに体温そのものが下がると免疫細胞が活発に働けなくなります。体温は36.5〜37度前後を目安に体温アップを目指しましょう。
・毎日お風呂でゆっくり温まる
・首・手首・足首などを冷やさない
・冷たい飲み物よりも温かい物を選ぶ
・筋肉の多くが集まっている下半身を鍛える
・生姜やシナモンなどの入ったハーブティーを取り入れる
など、シンプルですが効果的なケアを、本格的に寒い季節を迎える前に習慣づけておくと、ウイルスに負けない身体作りに繋がるでしょう。
<おすすめハーブティー>
『Herb De Chai』
シナモン、ジンジャーなど体を温めてくれるハーブをブレンドしました。
チャイですがベースは紅茶ではなくルイボスなのでノンカフェイン。
夜寝る前も安心してお飲みください。
『金運』
名前は目立つけれど、あまり選ばれることのないブレンド…
しかし!脾胃のケアさらに気管支の潤いケアにとってもおすすめ!
健康とは邪気を跳ね返す正気が充実している状態にあること。
そんな正気を養うには、過度なストレスや過労や夜更かしなどの消耗をしないこと。脾胃の状態を整えるために旬の物を食べて、食べ過ぎ飲み過ぎをしないこと。
特に秋は深い腹式呼吸をしてきれいな空気を体内に取り込むことが大切になります。
更に秋は空気が乾燥し始め、鼻や喉の粘膜が乾きやすい季節。この粘膜こそが外敵の侵入を防ぐ大きな盾となります。
そんな秋に意識したいのが、身体を守るバリア機能。
東洋医学ではこのバリア機能の働きを「衛気(えき)」と呼び、身体を病原体から守る大切な要素と考えています。衛気とは、身体の表面を覆い寒さやウイルスなどから私たちの身体を守ってくれる目に見えない防御力のようなもので、病から守ってくれています。
衛気は飲食物や呼吸によって作られます。脾胃と肺の両方が元気でないと衛気は作られません。まずは脾胃をいたわる食事(温かく消化の良いものを食べるなど)、朝の新鮮な空気の中で深呼吸をする、身体を潤す食事を摂る(白きくらげや梨、はちみつなど)などの衛気を養う暮らしを心掛けましょう。
また衛気は、日中は身体の表面を守っていますが、夜は体内に戻って修復しています。そのため睡眠不足は衛気の不足に繋がります。質の良い眠りは翌日の健康に繋がると心得て、少しでも早く布団に入ることをお勧めします。
陽から陰へ季節が変わる今こそ、日々の暮らしを整えて免疫機能を整えましょう。
フィトテラピーでは免疫力アップに関してどのようなサポートできるでしょうか。
「食べ物」「香り」「ハーブティー」の観点からおすすめしていきます。
<食べ物>
前途の通り、冷えは免疫細胞が働くのに大敵です。身体を温める食材を積極的に摂りましょう。
野菜は秋冬に旬を迎える根菜類、ネギなやショウガなどの薬味。
お酒を嗜まれる方は、寒い時季はなるべく冷たいビールや氷の入ったものは控え、赤ワインや梅酒、日本酒や紹興酒を適量楽しむと良いでしょう。
味噌や醤油などの発酵食品、または茶葉を発酵したお茶(紅茶など)も身体を温めます。
秋冬は美味しい食べ物がたくさん。楽しみながら適量を食べることでリラックスした雰囲気に身をゆだねることも免疫ケアに繋がります。
<香り>
オーストラリア原産のティートゥリーは古くから傷や感染症のケアに使用されてきました。
テルピネン4オールという成分は抗ウイルス作用に優れており、感染力を低下させるとされています。
室内のディフューザーなどで呼吸器ケアに役立てることがおすすめです。
商品はこちらティートゥリー<精油>
<ハーブティー>
■シングルハーブ
『エキナセア』
北アメリカに自生していたエキナセアは天然の抗生物質とも言われるほど薬効の高いハーブ。
免疫機能の強化に役立ち、風邪の初期症状を感じた時に飲むと回復を促します。
いざと言うときのために持っておくと良いですね。キク科のアレルギーをお持ちの方は注意してください。
『レッドクローバー』
マメ科のレッドクローバーは様々な働きがありますが、呼吸器系にも役立ちます。
咳が気になる時や去痰作用があり、風邪の諸症状に利用されてきました。
女性ホルモンのバランスを整える働きもあるので、妊娠中の多量の摂取には注意が必要です。
■ブレンドハーブ
『秋潤茶』
喉を潤すリコリス、身体を温めるジンジャーやシナモン、抗菌作用のあるタイムなどがブレンドされた、風邪に立ち向かえる秋潤茶。免疫部隊は血流に乗って身体を見回っています。しっかり温めて血流が滞らないようにしましょう。
『With books』
ローズレッドの赤が鮮やか。そこに身体を潤すマローブルーの青が見た目にも奥行きを醸し出します。リラックスすることで副交感神経が優位になりウイルスに強いリンパ球の働きが活発になります。秋冬は読書時間を持ってのんびり過ごす事も免疫ケアに繋がります。
コロナ禍を経て「免疫」という言葉がより一層身近になり、様々な情報が飛び交っています。正しい情報を選び取ることが重要だと気付かされると共に、免疫システムが働きやすい環境を作るには、地味ですがやはり規則正しい生活を送るということに尽きます。
自分の生活リズムが崩れそうだと早く気付くこと、そしてなるべく早急に生活リズムを立て直すこと、ちょっとした疲れを軽視して見逃さないことが大切だと思います。しかし規則正しいをキープし続けるのは意外と難しいことです。イレギュラーな選択をし続けることもまた人生。
そこで、生活のリズムの立て直しにフィトテラピーの知恵を活用することはとても有意義だと実感しています。一日3分でも、ご自身の体調や心の状態を振り返る時間を作ってみてはいかがでしょうか。あなたに寄り添うフィトテラピーを選択できる知恵を持っておくこと。このことが日々、そして人生においてイキイキと過ごすことに繋がると確信しています。








